これが今年の「春節」! 最新情報とトレンド事情

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はじめに

皆様、あけましておめでとうございます。

年末年始、どのように過ごされましたか? 筆者はおせちに早々飽きてしまい、カレーとラーメンが恋しい日々でした。

さて、日本では年明けムードの中で続々と仕事始めがされています。ですが、実はまだ「年明け」を迎えてない国があるのはご存知ですか?

それは、旧正月「春節」を大切にしている国々。中国、台湾、香港、シンガポール、マレーシア、インドネシアなど、訪日外客数が多いアジア諸国のほとんどは、中国暦やその他仏教暦上の1月1日である旧正月を、盛大に祝う風習があるのです。

日本は明治初頭に財政難や西欧化などの理由からグレゴリオ暦、いわゆる新暦に合わせたため、あまりなじみのない「春節」。しかし、多くのアジア諸国では祝祭日であり、連休となっています。日本でのゴールデンウイークがそうであるように、この時期アジア諸国の人々は国内外へ旅行する人が大変多いシーズンです。

当然、日本も訪問先の有力候補となっています。迎え入れる側としては、やっぱり事前に「春節」が何を巻き起こすのか、知っておきたいところではないでしょうか。

そこで、今回は訪日観光における「春節」のポテンシャルについて、訪日外客数第1位の中国を中心に調査を行いました。

今回は「これが今年の『春節』! 最新予測とトレンド事情調査」です。

200%増加、3.1%下落

この数字は、いったい何なのか。それをお話しする前に、春節の時期について正確な日付を確認しておきましょう。

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春節、とひとくちにいっても、国によって微妙に日付が異なります。というのは、採用している暦に、それぞれわずかな違いがあるからです。

中国の場合、2020年の春節は1月25日、休日となる期間は1月24日~1月30日です。社会人はこの前後に3~4日の休みを付けて、10日~14日間の長期休暇にすることが多いようです。

以前の中国では「春節といえば帰省」が当たり前でした。しかし現在は、休みが大変長いことや旅行そのもののハードルが下がったこともあり、6~7割の中国人は海外旅行をしたいと考えている、と中国の旅行代理店の調査で明らかになっています。余談ですが、今年は去年よりも11日早く開始しますので、早めの準備が求められますね。

さて、中国人のアウトバウンド需要の高まりで、気になるのは人気の旅行先。中国最大の旅行サイト「Ctrip」の調査によれば、日本は「近場の海外旅行先」で最も人気の高い国となっています。驚くべきは、その人気の高まり方。中国最大級の旅行口コミサイト「Mafengwo」によると、昨年と比較して日本人気は「200%増加」しているのです。いったいなぜなのでしょうか?

ひとつは、観光ビザの緩和です。2019年1月1日から、学生や頻繁に訪日をする中国人を対象に、日本入国時のビザ取得条件などが緩和されています。昨年の春節の時にも適用されていたルールですが、一年経って浸透してきた今になって、再び効果を発揮しているようです。

そしてもうひとつの理由が、「3.1%下落」です。いったい何が下落したんだ、という話ですね。実はこれ、日本への旅行価格が下がっているのです。景気変動や日本行き飛行機の便数増加に伴って、日本旅行ツアーなどの価格が下がっています。

結果、費用対効果の高い旅行先として、人気が上昇したということです。

Alipay,WeChatPayは何を仕掛ける?

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春節中は、中国の企業も様々なキャンペーンを行い、消費を促します。当社が提供しているAlipay、WeChatPayでも、2019年の春節と同じく今年も様々なキャンペーンが行われる予定です。

ちなみに2019年の春節では、

といったキャンペーンが行われました。

さて、気になる今年のキャンペーン内容は?

Alipay、WeChatPayともに、ユーザーは所定の回数クーポンを受け取れます。どちらも日本、または国外限定なので、中国で使ってしまってから日本に来る、ということはありません。金額は原則ランダムですが、Alipayでは5回目で30元以上の最高2888元(約45,200円)が、WeChatPayは2回目で30元以上、4回目で最高2020元(約31600円)が獲得可能と、期待の高まる金額を掲げています。

これらのキャンペーンによって、両企業とも日本、あるいは国外への旅行中での各サービスを利用した決済を促しています。春節中の海外旅行がかなりの消費を生む、とよくわかる取り組みです。

せっかくのチャンスです。Alipay、WeChatPayを導入しているお店は、キャンペーンが始まったら是非イベント用QRコードを掲示して、中国インバウンド客へアピールしてくださいね。

今年の中国インバウンド客、トレンドは「スキー」と「温泉」

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今年の春節トレンドは、ずばり「温泉のあるスキーリゾート」です。去年に引き続き、ウィンタースポーツを積極的に楽しむ「コト消費」が盛り上がると思われます。

ここ数年、中国ではスキー場が大人気! 日本では映画のヒットやバブル期とのマッチングで1990年代に大流行しましたが、同じように中国でもスキーをレジャーとして楽しむ動きが年々高まっているのです。

その理由は、2022年の「北京冬季五輪」。政府主導で、スキー人口を増やそうとしています。

観光庁の発表では、2018年6月時点で中国の潜在的スキー人口は1210万人。一方で、リフトが5基以上あるスキーリゾート数は日本の279に対してわずか84と、スキー人口の増加にきちんと設備の整ったスキーリゾートの増設が追いついていない状況です。

日本よりもずっと広く、また北方にも領土が広がっている国ですから、スキー場なんていくらでも作れるだろう、と思うかもしれません。しかし、中国全土で雪の降る場所はそう多くはなく、また降る所は緯度が高すぎてスポーツを楽しむには寒さが厳しいということが挙げられます。

そのため、比較的通いやすいスキーリゾートの多くは、人工雪で成り立っているのです。急斜面が少ないため初心者は長いコースをゆったりと滑ることができますが、盤面が固くコース外は岩肌がむき出しです。

対して、日本のスキー場はほとんどが自然雪です。もちろん補助的に人工雪を降らせることもありますが、朝イチで滑りに行けば新雪の上を滑れることも。また、コース以外の場所にも雪が積もっており、一面の雪景色を楽しめます。ふかふかでさらさらのパウダースノーと、日本特有の地形による緩急あるコースの組み合わせは、中国人スキーヤーをばっちり魅了しています。レンタルショップが充実しているのも、道具を買いそろえるところまではいかないライト層が訪れやすいポイントのひとつです。

日本のスキー場には、もうひとつ強みがあります。それは、多くが温泉旅館を併設し、「温泉文化」と密接なつながりを持っていることです。

中国人が冬の日本に求める娯楽で、スキーに並ぶ人気を誇っているのが温泉です。中国にも温泉はありますが、彼らが求めているのは先述した日本の「温泉文化」。テレビドラマなどで目にする「露天風呂で雪見酒を一杯」のような光景から、「日本で温泉に入ってみたい」と考える人は多いようです。

中国の旅行サイトが調査したところによると、特に草津、宇奈月、箱根、北海道は、人気が高いとのこと。日本独特の温泉作法を中国語で記載するなどの工夫は求められますが、需要は十分にあるので積極的にアピールしていきたいところですね。

また、春節の特徴として「家族で旅行する」ことが挙げられます。中国インバウンド客の団体ツアーは年々減少しているものの、春節はみんなで休めますから、親や子どもを連れてみんなで旅行しようかな、と考える人が多いのです。

団体ツアーの他、若者を中心に自由度の高いカスタマイズツアーを選択する人が増えているのも特徴的。家族向けのプランやお年寄り・子どもに配慮したサービスの提供などで、訪れたくなるような環境づくりを行うことで、自由時間に散策している中国人インバウンド客を引き寄せることができるかもしれません。

子ども向けでウケがいいのは、体験教室や文化体験などの「学びのツアー」。ただ勉強するだけではなくいろいろな体験をさせたいと考える親を対象に、ワークショップを開いてみるのはいかがでしょうか。

おわりに

さまざまな情報があったので、まとめていきましょう。

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いかがでしょうか? 年々増え続けている訪日外客数ですが、今年も更なるインバウンド需要の高まりが予想されます。まもなく訪れる中国人をはじめとするアジア圏の「春節」期間、東京五輪の前哨戦として、是非積極的な働きかけを行ってみてください。

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筆者プロフィール

teatime

広報担当 無糖ティータイム

今年度の新卒のひとりだが、社長に「5年目かと思った」メンター社員に「1年目に見えない」と言われ、自分でも「もしかして気づいていないだけで3年目なのかもしれない」と思い始めている。

最近の出来事:「机の周り散らかりすぎ!」と先輩社員に怒られました。ごもっとも過ぎてぐうの音もでなかったです。年末に大掃除をして無事綺麗になったので、1か月の持続を目指します。