インバウンド客、いつ帰ってくる? 現状と今後の規制緩和について解説!

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はじめに

緊急事態宣言が解除されてから、間もなく2か月が経とうとしています。政府が「Go To キャンペーン」などで経済回復を急ぐ一方、東京都では検査数の増加に比例して感染者数も増えており、まだ予断を許さない状況です。
7月、8月は本来ならオリンピックが開催され、世界各国から来た観光客で活発に賑わいを見せていたはずの日本ですが、COVID-19の流行はインバウンド関連業界にも大きな打撃を与えています。
このような状況下で、インバウンド需要はいつ頃回復するのでしょうか? 現在の状況と関連業界の意見、そして今後の展望についてまとめました。

現在の日本の状況と日本政府の対応は?

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2020年7月現在、日本が入国を制限している国の数は129か国です。2019年度のインバウンド客数TOP10の国も規制対象になっており、現在の状況では当然ながら、インバウンド客の来訪は見込めません。実際、今年の4月・5月の訪日外客数は前年比99%減となり、コロナウイルス流行以前に政府が目標としていた4000万人の達成は、極めて難しいといえます。
今後、訪日外国人の受け入れ制限を緩和する場合でも、まずはビジネス目的の往来からスタートします。観光目的での入国は一番最後となるため、まだまだ時間がかかりそうです。

インバウンド関連業者は今後の展開をどう見ている?

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先の見えない中で、インバウンドの関連業者はどのように将来の予測を立て、インバウンドについてどのような考えを持っているのでしょうか。

訪日コムによる「新型コロナと緊急事態宣言解除に関する意識調査」によると、関連業者の間では「国内は2020年10月ごろから、インバウンドは2021年2月ごろから」の期待が高いようです。2月は春節があるため、それまでには自体がある程度落ち着き、元の活気を取り戻したいと考えている業者が多いようです。
一方で、「インバウンドに戻ってきて欲しいか?」という同調査では、都市部で7割、地方で6割の企業が「戻ってきて欲しい」と回答しています。感染者が発生している国からの訪問者による感染拡大を懸念する一方で、経済的な損失を考えてインバウンド回復に前向きな姿勢を見せている企業が多い、というのが現状のようです。

そんな中で、戻ってきて欲しい国第1位は「台湾」。元々訪日外客数第3位(2019)であり、親日国として知られる台湾ですが、今回はそれに加えて「コロナに対する対策意識が高い」ことが重視されていると思われます。WHOがパンデミックを宣言する前から入国制限などの素早い対応を取り、4月に世界最速で封じ込めを成功させた台湾からの観光客なら、感染拡大のリスクが少ないと考えている人が多いようです。

今後の展開はどうなる?

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関連企業はインバウンドの回復に比較的前向きですが、今後国としてはどのような方針を持っているのでしょうか?

6月にJNTO(日本政府観光局)が発表している方針によると、「国内の回復を経て、国内でのインバウンド渡航に対する理解を経てから」とのこと。Go To キャンペーンなどを経て国内旅行がある程度活発になってから、訪日旅行客回復に向けた取り組みを行っていくものとみられます。
また、その前段階であるビジネス目的での往来に関しては、すでに制限解除にむけた交渉が行われています。対象国は、ベトナム、タイ、オーストラリア、ニュージーランド、台湾、ブルネイです(2020年7月現在)。また、その他候補にミャンマー、シンガポール、マレーシアがあります。
2019年の訪日外客数第1位と第2位である中国と韓国については、慎重に検討中とのこと。理由としては、空港で検査可能な人数や時間に制限がある中で、制限解除によって大人数が入国する可能性があり、対応しきれないことが挙げられています。

ちなみに、日本以外の国による日本からの渡航制限についてですが、アジア諸国では未だ多くの国が、入国制限を行っています。一方、EU諸国では日本からの渡航者受け入れを許可しているものの、一部の国では相互性が条件となっています。これに対し日本は「警戒レベルの高い国への渡航制限は引き続き行っていく」との見解を発表しています。

おわりに

世界的に見ると、観光業が財源のひとつとなっている国が、早々に渡航制限を解除する傾向にあります。2017年に「観光立国推進基本計画」が閣議決定され、訪日外国人観光客を成長戦略の軸に据えている日本でも、早期再開は重要な課題といえます。
感染拡大や、それにによる医療崩壊が怒らないよう慎重に進めていく必要はありますが、今後の前向きな展開に期待したいですね。

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筆者プロフィール

teatime

広報担当 無糖ティータイム

入社2年目に突入。現在はコラム「UP College」を中心にWebサイトのライティング、オフラインでの配布物作成などを行っている。趣味は旅行で、アジア圏ではタイ・ベトナム・台湾を訪問済み。コロナが収束した暁には、キャラバン隊へ参加してシルクロードを横断する予定。

最近の出来事:梅雨どきの寒暖差に必死で対応中。寝るときは暑いのに起きるときは寒い状況、なかなかしんどいですね。