訪日客を知る異国データベース Vol.2

「シンガポール」ってどんなところ? シンガポールとシンガポール人を知るための3つのポイントを特集!

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シンガポールの「人」

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1. 「キアス(KIASU)」=他人に負けず1位を目指す

シンガポール人の気質をひと言で説明する言葉として有名な「キアス」。語源は福建語にあり、意味合いは「負けたり損をしたりすることを嫌い、相手に劣っていたくない」といったものです。負けず嫌いで向上心が強いこの考え方が、シンガポール人の原動力となっています。
旅行においても、「よりお得に」や、逆に「より豪華に」と、友人知人の話を上回る体験がしたい! と考える人が多いようです。

2. 合理的で無駄を嫌う

そんなシンガポール人ですから、無駄なことに時間やお金を使って他人より出遅れることを嫌います。ビジネスでも動きが早く、何事もスピーディーに進んでいくのが特徴です。
こうして書くとせわしない印象を抱くかもしれませんが、シンガポール人は効率が良くなるのであれば難しいツールやスキルも進んで学ぶ傾向があるようです。
「無駄が多い」と言われがちな日本社会でも、参考にできる部分がありそうですね。

3. 東南アジアでも「国際人」の多い国

「他人に負けない」という気持ちもあって、シンガポール人は2言語習得が義務とされており、トリリンガルは当たり前です。大抵が、自分の家族と話す言葉・英語・国語であるマレー語を理解し、英語に関してはほぼネイティブと変わりません。シンガポールが国際ビジネスで強い理由のひとつといえるでしょう。
公用語が沢山あるからといって全部用意する必要はなく、英語だけでも十分おもてなしができるお客様といえます。

シンガポールの「文化」

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1. 料理

様々な民族が一緒に住んでいるシンガポールなので、食文化も種類豊富です。例えば、中国由来の「チキンライス」。ご飯を鶏のスープで炊き、鶏肉を載せてたれで食べる料理です。
また、日本ではカップ麺のフレーバーで出たこともある「シンガポールラクサ」は、マレー系由来の伝統料理です。ココナッツミルクベースの濃厚なスープが特徴で、エビのうまみと刺激的な辛さが食欲をそそります。
インド由来の料理なら「フィッシュヘッドカレー」が有名。南インドのスパイスと中国で食べられている魚の頭を合わせてできた、まさにシンガポールを象徴する料理ではないでしょうか。
このように、食に関しても間口の広いシンガポール人なら、日本料理もポジティブに楽しんでくれそうです。
ひとつ注意したいのは、シンガポール人とひとくちに言っても、イスラム教徒や仏教徒など宗教的な縛りは人それぞれであるということ。宗教的に禁止されている食べ物は食べられない、という人も一定数いるので、メニューに注意書きを用意するなどの工夫があると、お互い確認する手間が少なくて済むかもしれません。

2. 教育

シンガポールの親は、子どもに高い教育を受けさせることに大変熱心です。シンガポール人の子どもは12歳で将来に大きく関わる重要なテストを受けるため、小さいころから塾に通ったり家庭教師がいたりするようです。
そのかいあってか、世界中の子ども達に対して行われる教育調査「PISA」2018年の結果では、シンガポールが全項目で2位を獲得しています。
国が小さいため、政府が「人」を資源として非常に潤沢な予算を教育に割いており、その効果が如実に表れた結果といえるでしょう。

3. 買い物事情

「キアス」の考え方にある通り、シンガポール人は損を嫌います。裏を返せば、得を好むということです。なので、「おまけ」はとても喜ばれます。
「無料サービス」や「ひとつおまけ」といった「ちょっとお得」をつけることで、購買欲をさらに高めることができるかもしれません。

「ひとつ買うとひとつおまけ」の記載例

买一送一(中国語)

Buy one get one free!(英語)

シンガポール人観光客招致のカギ

1.個人旅行が圧倒的に多いが、一部にツアーの需要あり

2018年の調査によると、シンガポール人の約90%が旅行代理店を介すことなく、個人で旅行の手配をしています。それもあって、シンガポール人の情報収集は口コミが中心です。
また、同調査結果では、有名な旅行口コミサイトや個人のブログのほか、動画サイトも参考にして旅行計画を立てていることがわかります。
一方で、年齢層が高くなったり子どもがいたりする家庭には、ツアーでの旅行も需要があります。英会話能力が一定でない日本はシンガポール人にとって「言語の壁」が高く、他のアジア諸国のように中国語がわかる人もそう多くはありません。これにより、ツアーの方が効率よくめぼしいところを見て回れる、と判断するシンガポール人もいるようです。

2.リピーターに対してのアピールも重要

また、シンガポール人訪日客の大きな特徴が、リピーター率の高さです。2018年度の調査では、約75%の人が来訪回数2回以上となっており、この数値は日本お隣の韓国よりも高いのです。そのため、かなりの割合で「定番を外した場所に行きたい」と考えている人もいるようです。
そのため、かなりの割合で「定番を外した場所に行きたい」と考えている人もいるようです。
一そんな「リピーター」を含め、独自路線でシンガポール人観光客にアピールしている自治体の例を、2つ紹介します。

①. 「しまなみ海道」

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2016年11月、広島~愛媛を結ぶ西瀬戸自動車道、通称「しまなみ海道」。愛媛県は、瀬戸内の魅力をシンガポール国内に発信してもらおうと、四国運輸局・広島県・徳島県と連携してシンガポールのメディア関係者を6人招待しました。
3泊4日のツアーでは、厳島神社や原爆ドームなどを中心に、中国・四国各地の観光地を紹介。更に、新たな試みとしてしまなみ海道でのサイクリング体験を用意し、他では体験できないアクティビティでアピールしました。
熱帯気候のシンガポールでは、サイクリングを気軽に楽しむには気温が高く、必要な場合や競技を除いて自転車に乗る人はあまりいないようです。そのため、しまなみ海道を自転車で風を切って走るのは、母国では体験できない爽快感を味わえたのではないでしょうか。

地方の観光障壁のひとつに、交通の便があります。車で移動しないと不便なことも多く、公共交通機関の充実している都市部と比べると、まだまだインバウンド客が行きづらい場所だと思います。
しかし、シンガポール人の場合は国際免許証を持っていれば日本でも運転ができるので、公共交通機関では生きづらい地域でも訪れる可能性が高いのです。しまなみ海道のように「地方ならではのスケール感」を売りにした企画によって、日本でしかできない体験を求めるシンガポール人を呼び込めるかもしれません。

②.奈良県

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2019年、複数の企業と団体によって、画期的な企画の実証実験が行われました。
その企画とは、観光型MaaS※「くるり奈良」。シンガポールを出てから帰るまで、すべての交通機関をスマートフォンで検索・予約・決済可能なサービスです。
「国が違うとはいえ”電車”なんだからそんなに大きくは変わらないでしょ」と思っていたら、意外と券売機の仕様が違っていたり、支払いシステムが違っていたり――そんな苦労は、海外旅行あるあるだと思っています。特に、シンガポール人が無駄を嫌う合理的な正確なのは前述したとおりです。しかし、「くるり奈良」が一般的に使えるようになれば、シンガポール人は切符購入の手間などを省くことができます。
シンガポール人に多い個人手配派の旅行者にとっては、非常に使い勝手のいいこのサービス。より旅行しやすくインフラを整えることで更なるシンガポール観光客招致を狙う、奈良の事例でした。

※MaaS(Mobility as a Service)とは、運営主体を問わず全て(自家用車除く)の交通手段を組み合わせ、利用者の目的地や計画に合わせた最適なルートを検索・予約・決済できるサービスのこと。日本においては実証実験中で、実用化にはまだ至っていない。

おわりに

このように、シンガポール人に向けた施策はいくつか存在しています。しかし、台湾やタイなどと比べると、シンガポール人を狙い撃ちした施策を打っているところはまだそう多くはありません。
人数もそれなりに多く客単価の高いシンガポール人観光客は、他の人気がある国と比べると「穴場」の招致対象かもしれませんね。

筆者プロフィール

teatime

広報担当 無糖ティータイム

入社10か月に突入。現在はコラム「UP College」を中心にWebサイトのライティング、オフラインでの配布物作成などを行っている。最近は新卒面談などで学生と話す機会があるため、少々ノスタルジック。趣味は旅行で、アジア圏ではタイ・ベトナム・台湾を訪問済み。次はキャラバン隊へ参加して、シルクロードを横断することが目標。

最近の出来事:久々に学生時代のアルバイト先へお邪魔したところ、全員マスク着用での営業に切り替わっておりなんだか新鮮でした。たくさんのサービスはとても嬉しいのですが、食べ過ぎてしまうのが難点です。