アルコール濃度を知ろう

飲食店再開に伴い、店舗や建物入り口にアルコール消毒を置くことが今や普通になっている。

しかし多くの店舗で半ば儀式的に設置しているだけで、コロナウイルスには効果の薄い、あるいはまったくないものを使用している例も多い。

実際に使用して効果のあるものは一体どういうものなのか。

アルコール消毒のメカニズム

簡単に言うとアルコール成分はウイルスの細胞膜を破壊したり、ウイルス生存に必須な蛋白を破壊する効果があるためだ。

ウイルスの体を破壊し、栄養素を流出させて餓死したり、高濃度のアルコールではさらに体に直接の大ダメージを与えて死亡させる。

アルコール信仰は危険

アルコール消毒はもはや文化になりつつある

アルコールが殺菌に効果があるというのは、古代から知られている。

適切な効果を知らず、とりあえずアルコールでコロナ対策している現状では、多くの人が占いを信じていた大昔の人と同じとも言える。

よく「高濃度の酒やエタノールそのものを使えばいいのでは」という人もいるが、実はこれらは殺菌作用が限られてくる。

多くの市販のアルコール殺菌剤は、アルコールと水以外の成分も含んでいることが多く、他の成分がアルコールの効果を高めることで、即効性や強力な効果を発揮できる。

アルコール濃度８０％以上の消毒剤がない理由

にわかに信じがたいが、アルコールは濃度が高いほど効果があるというのは間違い。

実は８０％以上だと効果が一気に減退する。

８０％以上の濃度では、細胞膜やエンベロープなど、ウイルス等の外壁の破壊が緩やかになり、ウイルスが死滅しにくくなり、ウイルスや細菌は高濃度では殺効果が減退される。

また７０％でも死滅まで数分以内であり、一瞬でウイルスが即死するということはない。

消毒と記載があっても効果の大小がある

コロナウイルスはエンベロープという膜がある種で、この種は幸いなことに濃度４０％程度でも死滅するアルコールが効きやすいウイルス種に属するが、コロナウイルスに対する各研究機関やWHOが推奨するアルコール濃度は高濃度。おおむね６０％～８０％前後で最も効果を発揮すると広報している。

他の濃度ではどうかというと、効果が限られている。アルコール濃度８％未満では細菌やウイルスを死滅させることはできないが、活動を減退させられる。

２０％未満だと３０分で死ぬこともあれば４８時間でも死なないこともあり、殺菌・殺ウイルスとしては効果があまり期待できない。

そのため、多くのアルコール消毒剤は効果が最もあるとされる４０～７０％が主流。また酒税対策やエタノール（アルコール）の殺菌効果促進のための様々な薬品も混ぜられて販売されている。

何を選択すればいいか

用途を考えて購入しよう

今回はアルコール消毒液にスポットを当てているが、現代ではアルコール以外の方法でウイルスに対抗する薬品も多数ある。

一方で詐欺的な表記で効果がありそうにうたうものもある。特にアルコール濃度は高ければいいとか、ただアルコールを薄めればいいわけではない。

詐欺ではないが、消毒剤という表記も、静菌作用のことを指していて、ウイルスや細菌を殺すことを狙っていないものもある。

単純に製品名やアルコール濃度の大小だけで効果がある、ないを見ることはできないため、効果がありそうなものより、SARSなどの時代から効果が確認されている製品や販売元を選ぶ、あるいは相乗効果のある薬剤や記載を調べてから購入することをお勧めしたい。

筆者プロフィール

編集長　例のりす

決済を利用するすべての人へのメディア「UP College」の編集をしている人。なんでも興味を持ってしまい、広く浅くを通してしまって何かと手に負えなくなっている。

対象がインドア・アウトドア問わずなのでコロナ自粛生活だろうと解禁されようと相変わらず時間が足りていない。