【インタビュー】中国向け越境EC、成功までの3つの壁とは? part1
國藤です。
当社では、2010年から業界内で最初に「Alipay」の同時提供を開始し、多くの反響とご相談をいただいてきました。しかし注目度は高いものの様々な障壁があるようで、なかなか形にならない事が多いのがこの「中国向けの越境EC」だったりもします。
そんな中、中国向けECをそんな中国向けの越境ECを既に7年運用されている加盟店様にインタビューに応じていただけましたので、2回にわたってご紹介していきます。
今回取材に応じてくださったのは
東京都江東区で物流・倉庫関連事業を営む。創業は1998年7月、国内営業所は11箇所、海外営業所は10箇所、従業員は500名。webサイトはこちら
中国向けビジネスは17年前から
以前経営していた会社で、馬喰町にある問屋さんに商品を卸していました。17年前の話ですが、既にその頃から馬喰町には、香港や台湾から沢山のバイヤーの方が商品を買い付けに来ていました。ある時、問屋さんから「その方々へ、何か一緒に便宜供与ができないだろうか?」というご相談をいただき、商品の運送をメインにホテルの予約、飛行機のチケット手配などを行うようになり、徐々にそれが事業になっていきました。
現在も、日本のECサイトで買ったものを中国に転送するサービス「我就是日本代购」と越境ECの「中国購買王」が、事業の中核です。
通関についてのトピックス
では運送に因んで、ここ最近の通関事情を伺えたら。
今、非常に通関が難しいのはアロエです。アロエが成分として含まれる化粧品など。それから電池が入っている商品、例えば電動歯ブラシなどです。アロエはワシントン条約が原因で非常に厳く、電池は通関が難しいわけではなく、航空会社が危険物とみなし、量を制限しています。
もちろん当たり前に通関できないものは沢山あるのですが、特にこの2つが、越境ECで面倒な商品と捉えています。
あの「売れ筋商品」が無いのは?
オムツと粉ミルクは、まさに中国で売れている二代トップスターです。しかしこれは既に大量かつ安く流通していて、利益を得るのが難しいのです。
越境ECという分野では、中国の方が経営する日本企業「だけ」が成功しているというのが現状だと感じています。そういった企業の社長さん達と情報交換をする 事もあるのですが、皆さん口を揃えて「需要があるから(オムツや粉ミルクを)売っているくらいで、そこで儲けようとは思っていない」と仰います。
それだけ力のあるプレイヤーが大勢いて、熾烈な価格競争も起きているところに参入するのは賢明でないというのが、当社が取り扱わない理由です。
これから「売れ筋」を売るようでは遅い?
そうです。前述の「中国の方が経営する日本企業」でも、独占代理権を獲得できる新しい商材を見つけて、「日本にいる中国の方」から「中国にいる中国の方」へ発信していくという手法にシフトしているようです。
市場が大きい分販売事業者の数も多く競争も激しく、簡単に成功できるようなところではありません。当社も、まだ事業として成り立つ程の手応えは得られていません(苦笑)。
これまで6年間やってきて「日本の企業が参入しても上手くいかない」という話や「撤退した」という話はよく聞くのですが、大きく分けて3つの理由があり、それらが「壁」になっているのだと考えています。
中国越境ECの壁その1 「ブランドの認知」
例えば無印良品やユニクロといった「既に中国に出店し、充分認知されている日本のブランド」のネットショップであれば、売れていると思います。
たとえ「日本では誰もが知っているようなブランド」であっても、中国では殆ど認知されていないものがほとんどで、いくらECサイトを作ってマーケティングに注力したとしても、軌道に乗せるのは容易ではなく、既にモールとして多くのユーザーを抱える天猫(Tmall)や、京東(ジンドン)に出品したとしても難しいと思います。なぜかというと…
購買行動そのものが違う?
中国の方の購買行動は、日本と大きく違うのだと思います。
例えば中国大変人気のある「とある日本メーカーの目薬」があるのですが、中国の方はまさに「その銘柄だけ」しか買いません。
日本の目薬全般が注目されているとありがたいのですが、ピンポイントで「それだけ」しか買わない。まさに「指名買い」ばかりで「出合い頭買い」がほとんどない印象です。
なぜ、そうなるのか?
この「強烈な指名買い傾向」の背景は恐らく口コミにあって、例えば誰かが微博(ウェイボー。編注:中国版Twitter)で「この目薬が凄く気持ちいい!」と呟いた事から火がついて、そこに皆さん集中するのだと推測します。
実際に中国からの訪日客が多く訪れるドラッグストアを見に行っても、まさに特定銘柄だけが品薄で、他はそれほど売れていない様子です。そういった「既に人気が出ているもの」をリーズナブルな値段で売れば、ある程度売れるのでしょうが、実は他にも重要な要素があるのです。
ここからは、実際に成功している中国向け販売のビジネスを例として説明していきましょう。
–<vol.2に続く>–
次回は、中国市場の消費傾向により詳しく迫っていきます。お楽しみに!
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