インバウンド客が減っている今こそ注目!2020年の躍進が期待される「モバイルオーダー」って?

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はじめに

1月に発生した新型コロナウイルス感染症によって、激減しているインバウンド客。

不可抗力とはいえ、売上の低迷はなるべく最小限に抑えたいところですが、中国人観光客が売上の多くを占めていたような旅館の中には、すでにこのあおりを受けて経営破綻に陥っているところもあります。

そんな時だからこそ、来てくれるお客様がなるべくスムーズに会計を済ませ、店内への滞在率を減らして回転率を上げることが重要になってきます。

それを実現するサービスが「モバイルオーダー」です。

今回は、すでにいくつかの大手チェーンなどで実施されている「モバイルオーダー」について、その認知度や利用した感想を中心にまとめていきたいと思います。

モバイルオーダーの認知度は6割、利用経験は1割。ファストフードでの利用が人気

モバイルオーダーについて、以下のような調査結果が出ています。

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伊藤忠グループのリサーチ会社・マイボイスコム株式会社の調査によると、モバイルオーダーの認知度は55.5%に上っています。
このことから、モバイルオーダーについてはそう珍しいものでもなくなってきていると分かります。
一方で、利用したことがあるのは全体の12.1%に留まっています。これは恐らく、まだモバイルオーダーを実施している店舗自体が少ないという背景があると思われます。

大手チェーン店であっても全店舗に導入しているとは限らず、試験的な段階であることも多いサービスです。

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「モバイルオーダーを利用したい店舗は」という設問に対しては、1位が「ファストフード」、2位が「牛丼・餃子・寿司などのチェーン店」、3位が「ファミリーレストラン」となっています。

モバイルオーダーってなにがいいの?

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モバイルオーダーの利点は、なんといっても「並ばずに済む」ということです。

店舗利用者は、事前に予約注文をして支払いも済ませておけば、店舗で待つ必要はありません。そのため、今までは時間の関係上利用を断念していた朝の出勤前や休憩などでも、店舗を利用するようになります。
また、店舗側も「いつ頃にどのくらいのお客様がどんな商品を取りに来るのか」が可視化され、無駄を省いて効率よく商品提供をすることが可能になります。

利用者が商品を落ち着いて選べるのも魅力です。筆者も経験がありますが、利用者はメニューの多い店ではあれこれ悩んで後ろの人を待たせてしまうことも。じっくり悩んでから確実に注文でき、人前で恥をかいたり迷惑をかけたりせずに済むという点が、そういった体験を避けたがる日本人気質とも相性が良いのです。
対して店舗側は、複雑な注文を正確に受けることができるため、オーダーミスを減らすことができます。

支払いがスムーズな点も高ポイント。アプリなどで事前に登録している支払い手段で決済が行われるため、店舗側はお釣りや計算違いの心配をしなくて済みます。

このように、店舗利用者はより快適に商品購入ができ、店舗側はお客様の機会損失を減らして店舗内の業務を効率化できるのが、モバイルオーダーの特徴です。

課題は「柔軟性」

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モバイルオーダーには利点がたくさんある一方で、課題も残っています。

第1に、モバイルオーダーはトッピングや味付け、○○抜きなどのカスタマイズが難しいことが挙げられます。対人であれば少しのコミュニケーションで済む話ですが、モバイルオーダーではカスタマイズも全て選択肢に登録しなければ注文できません。
大手カフェチェーンの独自アプリでは、店頭でのカスタマイズを再現できるよう、モバイルオーダーアプリの選択肢を可能な限り細かくすることで、店頭での注文と変わらない味を提供しています。一方で、最近モバイルオーダーを全国に導入した大手ハンバーガーチェーンでは、「○○抜き」などができない点が指摘され、改善が求められています。

また、第2の課題として「決済方法の種類の少なさ」が挙げられます。
大手カフェチェーンでは、自社で発行しているデビットカードをクレジットカード情報と紐づけて利用する手法しか使えません。また、大手ハンバーガーチェーンでは、利用可能な決済手段がクレジットカードとLINE Payのみとなっており、従来使えていたdポイントなどを貯められない点が課題となっています。

このように、いくつかの難点も持ち合わせているモバイルオーダー。しかし、カフェチェーンでは1月の月間利用者数(MAU)が138万人と約半年で41%増、ハンバーガーチェーンでは1月のモバイルオーダーアプリ所有者が104万人と前月から67%増、月間利用者数は54万人と前月から55%増になっているのもまた、事実です。
どちらのモバイルオーダーアプリも、一定以上のニーズがあり、積極利用する層が増えていることがよくわかります。

デメリットは決して致命的ではなく、むしろメリットの方が大きいため、このような結果が出ていると考えていいでしょう。

多言語対応によるインバウンド対策も視野に

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余裕を持った注文やスムーズな決済、待ち時間の解消に加えて、モバイルオーダーの利点として「多言語対応」が挙げられます。

言語の壁が厚く、宗教的な食事の規則にも触れる機会の少ない日本では、インバウンド客の複雑な要望を正確に受けるのも一苦労します。英語や中国語を話せるスタッフの雇用や維持も、そう簡単ではありません。
しかし、多言語対応のモバイルオーダーであれば、写真や詳細な商品説明を載せることができますし、もし「写真が少ない」や「もっと詳しく説明して欲しい」といった要望があった場合でも、わざわざ作り直す必要はなく、モバイルオーダーの内容をアップデートすることですぐに改善できます。

今いる人材のみで店舗を効率よく回そうと考えるなら、モバイルオーダーの導入は非常に相性がいいのではないかと思います。

おわりに

昨年から徐々に広まりつつあるモバイルオーダー。課題はあるものの利点も多く、今後の成長に期待ができるサービスです。
「コロナウイルスで苦しい状況に陥っているのにそんなの考えてられないよ!」と思われるかもしれませんが、業務に余裕のある今だからこそ、十分な導入準備を整える好機と捉えてみてください。

UPCで提供可能なモバイルオーダーサービス「L.B.B.」についてはこちら

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筆者プロフィール

teatime

広報担当 無糖ティータイム

入社11か月に突入。現在はコラム「UP College」を中心にWebサイトのライティング、オフラインでの配布物作成などを行っている。最近は新卒面談などで学生と話す機会があるため、少々ノスタルジック。趣味は旅行で、アジア圏ではタイ・ベトナム・台湾を訪問済み。次はキャラバン隊へ参加してシルクロードを横断することを目標に、日々の業務へ取り組んでいる。

最近の出来事:花粉シーズン到来に戦々恐々としていましたが、今年は例年より少ないそうです。マスク着用の効果もあって今のところ重い症状はなし。今年はずっとこの調子なのか、それともどこかで爆発するのか……。